ラ マダーン月のサウムはイスラームの五柱、つまりイスラームで最も重要な5つの義務の一つです。あらゆる成年のムスリムは、男性も女性も、ラマダーン月の
一ヶ月間には毎日暁から日没までの間サウムをしなければなりません。これは単なるダイエットや肉体的な苦痛のためではなく、精神的な行であり、アッラーに
対する崇拝と服従を表す祈りの一つの形なのです。
アッラーは私たち人間を創造され、私たちに生命や身体をはじめ毎日の生活に必要なさまざまなものを与えて下さいました。私たちが健康で生活できるのも、毎
日の食事が食べられるのも、アッラーがそれを与えてくれているからです。例えば人間は努力しますが、ほんの少し雨が降らなかったり、冷夏だったりするだけ
で、飢饉になります。いくら科学技術が進歩しても、アッラーがほどよい天気にしてくれなければ人間にはどうにもできません。アッラーは私たちの創造主であ
り、人間を養っている偉大な存在です。しかし人間は日常に慣れ、その恵みをあたりまえのことと思いがちです。サウムを行なうことによって、私たちは普段忘
れているアッラーの恵みを改めて認識し、より一層、感謝と服従の気持ちを新たにすることができるのです。
また、私たちはアッラーのしもべであり、アッラーは私たちの主です。ですから、アッラーが私たちに一定の期間、食欲や他の欲望を控えるように命じられたなら、私たちは従わなければなりません。アッラーはクルアーンでこう語っておられます。
信仰する者よ。お前たち以前の者に定められたように、お前たちにサウムが定められた。おそらく、お前たちは主を畏れるだろう(クルアーン第2章183節)
サウムには多くの利益があります。預言者ムハンマド(彼の上に祝福と平安あれ)は次のようにおっしゃっています。
「誰でもラマダーン月に誠実な信仰とアッラーからの報奨を期待してサウムする者は、以前の罪を全て許される」
またサウムの効用の一つとして、自分の自制心・克己心を強くする作用があります。私たちは毎日の生活の中でたくさんの欲望を満たし、自分の健康に害がある
ことを習慣にしていることもあります。私たちが欲望に常に忠実であり続けると、私たちは自分の欲望の奴隷になってしまいます。サウムを行なうことによっ
て、私たちは欲望に支配されるのではなく私たちが欲望を支配し、自分の生活を抑制する精神的な強さを得ることができるのです。
またサウムをすることによって、私たちは食べ物のない貧しい人々の不幸をわずかでも体験することができ、それによって貧しい人々に対する同情心や親近感が
わきます。またサウムという行事を通じて、私たちは自分が世界中のムスリムと一体になったと感じ、同胞意識を確認するのです。医学的にも、サウムは血液中
の脂肪分をとり、腸内の細菌や乳酸の有害な働きをおさえるなど、健康にもよいことが解り始めています。
しかし、これらはどれも二次的なことです。私たちはアッラーからサウムを命じられました。そこでアッラーの忠実なしもべとしてアッラーのお喜びを求め、精神的にアッラーへ近づくためにサウムを行なうのです。
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